~イカリ・チェーン等のステンレス製品について~

当製品のイカリ・チェーンは海の「海水環境」で使われることがほとんどで、是非下記ご覧いただければと思います。

                    ~①茶錆の発生と主な状況~

イカリ・チェーンはステンレス製ではございますが、ステンレスは「錆びない」と思われてる方も多いのですが、正確には「錆びにくい」と言う表現が正しく程度の差こそあれ、錆びてきます。

その上で、例えば

① 漁師さんAは年間200日出漁し、毎日8時間漁をするとします。

その内180日イカリを使った一本釣り漁をし、1日当たり、行き帰りの航行を除いて6~7時間イカリを海中に沈めて漁をします。

② 漁師さんB は同じく年間200日出漁し、毎日8時間漁をします。

その内イカリを使った漁は5日程度で、残りの195日は流し釣りやトローリングをし、その間もイカリはアンカーローラーにかけたままにしています。


上記漁師さんA・Bでは、一見よく海水につけている漁師さんAのイカリの方が良く錆びてしまいそうに思われるかもしれませんが、実際、漁師さんBのイカリの方が、圧倒的に錆が載り易いです。

理由は専門家ではないので、はっきり言い切れませんが、海水スプレーが悪影響を与えていると思われます。

工業の試験で海水噴霧試験(名前を間違ってたらすみません。)と言うのがありますが、海水を霧状に吹きかけて、何時間で金属に錆が発生するのかを調べ、例えば24時間錆が発生しなければ海水環境で無い、通常の自然環境で何年錆が発生しないだろうという目安にする試験らしいですが、船がトローリング等をすれば、当然船上にもスプレーがかかりますので、イカリがこの試験と同じよな環境におかれてしまっていると言う事になります。ご興味ございましたら下記ページを見てみてください。

http://www.kagoshima-it.go.jp/pdf/kenkyu_report/k_report_2001_08.pdf


逆に漁師さんAのイカリは海水にこそ漬かってる時間は長いですが、海水中では酸素が無いため酸化反応である錆が発生しにくい環境であるばかりか、アンカー上下時に水流や、海水中に溶けている微細な物質などによって表面が洗われたり、特に砂地なら海底を引くときに砂によってヤスリの効果で錆を落としてくれたりするため、綺麗な状態が維持しやすいためです。

イカリについて記載いたしましたが、チェーンでも同じ状況が発生いたします。


実際、地元で漁師さんA・Bに近い状態の使用をされておられる方が各々おられ、錆の発生具合に大きな差が確認できております。

要はイカリでも車でもボートでも家でもそうですが「使わないと錆びる」と言う事かと思います。


                  ~②ステンレスの孔食について~

これは私の持論になってしまいますが、「イカリ、チェーンをマリン用に使っていただくにあたり」と言うのを前提にしてですが、ステンレスの自然腐食には2種類あると思っております。

1つは上記でご説明した茶錆ですが、もう1つは、孔食というものになります。

 孔食(こうしょく)というと余り聞き慣れないかと思いますが、人間の歯に例えるのが分かりやすいと思いますので、①の茶錆を茶渋や歯の黄ばみと例えるなら、孔食は虫歯というのが分かりやすいと思います。

歯の黄ばみなどはホワイニングなどで取れたりしますが、虫歯はそうは行かず、ほうっておけば歯をボロボロに蝕み、最後には歯の形を維持できなくなりますが、これと同じことがステンレスでも起きます。

写真下部に。

写真で、面白い事に茶錆がほとんど発生していないことが見ていただけると思います。

どのような状況でこれが発生したのかと言いますと、「ずっと海水中」と言う状況で発生した物です。確か2~3年程度ずっと海水中、若しくはそれに近い状態で起こったと記憶しております。

上記で茶錆に関しては海水中でよく使う方が良いと記載いたしましたが余りにも長い時間海水中の場合、このような事が起こってしまう場合があります。

 私は、世の中に係留用のステンレスイカリというのをほとんど見かけないのはこのためではないかと推測しています。

 これに対抗するため、スーパーステンレス(海水用ステンレス・二相ステンレス)などというのもあるようですが、コスト面において、とてもイカリに使えるものではありません。

 ただ、チェーンにおいては、係留用途に使われることが少なくなく、ずっと海水中というのが避けられない場合がありますので、今現在チェーンにおいてはSUS316という海水に対してある程度耐性の期待できるものに変更していっています。これでも「ある程度」となります。

 また、この孔食に関しては、ずっと海水中なら必ずおきると言う物ではなく、隣の船のは大丈夫だが、自身のだけに起きたとか、海流や浮遊物、海水濃度・成分などなど、色んな条件によって違いが出るようで、今尚、はっきりとした発生条状況と言うのが判っていないと聞いております。

 不思議と同じ材質のステンレスでも何年も起きないというのも珍しくないのが「孔食」です。

 チェーンの場合で、係船にお使いの場合、例えばチェーンが海水中に入っていてその上をボートが通る等の場合、プロペラの回転やその他で発生するする微弱電流(すみません原因は定かではないです)などによってその部分のみ腐食すると言った話も聞いたことがあります。


ずっと積みっ放しで空気中だと茶錆の可能性、ずっと漬けておくと孔食の可能性が。

なると、イカリ・チェーンの取扱いについどうすればよいのかと思われるかもしれませんが、孔食に関しては週単位や月単位で漬けっぱなしにしていなければ心配するような事もないかと思いますし、①でも記載しましたように、普通にメインの釣りは「係釣り」用としてお使いいただくのに支障ございません。

何か係留などで、システムを組む場合、使う部材選びのポイントとして、また、知識として持っておいていただければと思います。

以上、長文お読みいただき、ありがとうございました。